満たされた弱者

重度身体障害者、生活保護受給中。

自殺する者は何も考えられない ※訂正あり

先に書いた「死んでみないとわからないバカは死ねないつらさを想像しない」について、ブックマークのコメントで「自殺志願者も読んだほうがいい」というものを拝見した。本当にそう、という失敗者としての談と、でもねえ、という自殺未遂経験者としての談を書きます。

 

まず、自殺に失敗する確率はどんなものなのか。これは相当高いと思う。データとか探せば数字が出てくるかもしれないがそこはものぐさな私、経験で言おう。入院中に自殺に失敗した人を3人見た。そのうちの1人は3回目の飛び降りと言っていた。病院外の知り合いでも首を吊ったり薬をのんだりして病院に担ぎ込まれた経験がある人が少なくとも3人。対して自殺に成功した人は1人。しかも何回目かわからない試みであった。

もちろん病院で出会った人に自殺に成功した人はいない(ICUから出てこられるならそうそう死なないだろう)。よってこの「経験から自殺の失敗率は高いと推測する」というのはサンプリングに大いに偏りがあるということを前提で読んでほしい。サンプリング条件を「私が直接知る自殺を試みた人」として、成功者の割合をいえば1/7。あ、自分も入れたら1/8か。

※訂正:自殺した伯父のことを忘れていた。2/9である。※

私の経験のうち、という極めて限定的な話を進める。病院で会った3人の自殺未遂者は何らかの障害を負った。その後を知らないので退院する時の話だが、元通り歩けるようになった人はいなかった。杖を使って歩く・室内歩行はできた人もいた。身体障害者手帳でいえば3級くらいかな。このくらいだと障害基礎年金はもらえないと思う。ヘルパーに介護してもらえる時間も私よりずっと少ない。重度身体障害者になるのもオススメしないが3級だって生活は一変する。仕事は変わらざるを得ないケースが多いだろう。しかも支援は1級に比べるとかなり薄い。やはり自殺に失敗した時のリスクは相当なものである。

ここまでが「マジやめとけ、死ぬのは簡単じゃない」という話。

 

ここからは「でもねえ」の話になる。私自身の心境を思い出し、また自殺未遂者に質問したところ想像するに、自殺に踏み切るとき人は「死」以外の何も考えられなくなるようだ。つまり私のブログを読んで思いとどまってくれる人はそもそも自殺をしないだろうし、やっちゃう人はこれを読んでも気がついたらやっちゃうのだ。

 私自身、希死念慮を抱え始めたのが15歳で自殺未遂をしたのは33歳。どうしてそれまで実行しなかったかというとひたすら「未遂だけはイヤ」だったからである。死にたい気持ちは常にあるからいろいろ方法を模索した。飛び降りが確実か、首を吊るのに適した場所は。いちばん手軽と思われたのが薬だったので、手に入る薬で慎重に致死量を計算した。それだってすぐのんだわけじゃない。手元に置いておいただけである。

ではなぜのんだのか。実はなぜだかわからない。前にバイト先で言われたことがきっかけのように書いたが、それは後でmixi日記を読んで推測したことで、その「せい」かというとそうでもない気もする。トリガーであったのは確かだと思うけれど。

普段の私は「薬をのんでから発見されるまでの時間は長い方が確実」と常々考えていたから、計画的な自殺なら週2回のバイトに行った直後にのむはずである。実際トリガーはバイト中に発生したのだから、そこで死にたくなったら帰宅してすぐのめば次のバイトは4日後、それまで自宅を訪ねる人はおらず死に至った可能性は高くなったはずだ。ところが薬をのんだのは3日後、次のバイトの前日だった。その日の記憶をいくらたどっても「次の日バイト、行かなければおかしいと思われる」ってことは全く意識になかったのである。「これで死ねる、全部終わりにできる」という高揚感のようなものしかなかった。頭のネジが何本か飛んでいた感じ。よく「残された人の気持ちを考えろ」という人がいるが、あれほど頓珍漢な言葉はないと思う。そんなものを考える余裕があるなら死ぬ必要はないからだ。飛び降りや首吊りをした人にも話を聞いたが、「何かワーってなってつい」みたいなものだった。

それと、以前の私は「身体が病気になって死ぬのも、精神が病気になって自殺するのも死のあり方としては大差ない」と言っていた。今もその考えはあまり変わっていない。だけど身体が死ぬのと、精神の死に合わせて身体を死なせるのとは同じではない。後者はズレが生じることが多い。それが身に沁みた。

 

結局私には、自殺を思いとどまらせる方法は思いつかない。パニックに陥った人間には事前に何を言っておいても仕方がないと思うのだ。今これを読みながら冷静に自殺企図している人がいたら、冷静にリスクを判断してください。確実に死ねる、は甘いよ。死ぬよりつらい生き地獄に飛び込むより、手足が自由に動く身体で苦しむほうがマシです。ほんとに。