満たされた弱者

重度身体障害者、生活保護受給中。

中学時代の、あるクラスメイトの話。

全然、障害や生活保護には関係ない話を書きます。ふと思い出したから。

中2の1学期、私は窓際の一番後ろの席だった。前の席はけんちゃんという男子。彼は変わっていた。
ある日のこと、授業中にふと足下を見るとかわいい子犬がいた。うちの学校は犬や猫が教室に入ってくること珍しくなかったので、犬好きな私は「わーかわいい」と言った。
するとけんちゃんがおもむろに振り返り、その子犬を思いっきりグーで殴った。
子犬はキャンキャン鳴きながらベランダまで転がっていった。その声で先生が気づいて子犬を抱き上げ、「あら~どうしたんシロタビはいて!」と言った(足先が白い柴っぽい犬だった)。
けんちゃんは薄く笑っていた。

授業参観の日はプリントで紙飛行機を折ったり、窓にとまったハエかなんかを殺すつもりか、なにか細いもので窓をカッ、カッと刺していた。

こう書くとけんちゃんはやばそうに見える。しかし私とはそこそこ仲がよかった。
給食の時間は私も彼も自分の席で食べた。けんちゃんは目一杯急いで食べ終わり、モグモグしながら必ず振り返る。そして私がとうに食べ終わっているのを見て悔しがるのだ。

クラスで誰とも一言も口を利かない男子に、答えがなくても平気で話し掛けるのはけんちゃんだけだった。相手は迷惑そうだったが。

球技大会で、本当はバレー強いのにずっとニヤニヤしながら仁王立ちしてたときは顰蹙買ってた。

3年は別のクラスになり、噂で高校には行かず寿司屋に入ると聞いた。
実際どうしたかは知らない。

シロタビはいた犬を見るたび、けんちゃんを思い出す。

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