満たされた弱者

重度身体障害者、生活保護受給中。

サイカイ - 2

今更ですが大阪の地震は私の生活圏では影響がなく、無事です(一応ご報告)。

 

前の続き

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11月にFさんが来てから1ヶ月ほど、私はずっと考えていた。
考えていたのか、思い出していたのか、悩んでいたのか、今となってはよくわからない。
ただ、それまでは1ヶ月などあっという間(体感)だったのに、その1ヶ月は長かった。

 

引っかかったのはFさんが、深夜に電話をかけてきた時のことを「覚えていない」と言ったことだった。
まあ普通なら忘れていても不思議はないのかもしれないけれど、あれはちょっと特殊だった。
いくら私が超夜型である(当時)ことを知っていても、1時半に電話をかけてきて朝9時まで喋るってそうそう忘れられることではないと思うのだ…。
いや時間帯の問題ではない。問題じゃないのか?
とにかく電話で7時間喋るってよくあることか?
しかもその前に事務所で3時間話しているのだ。
サシで3時間話したのはあの日が初めてだったんじゃないか?
その後に7時間超。1日に10時間、1対1で話すほど仲良しではなかった。

 

考えれば考えるほど不安になった。
なぜそれほど長時間話したかというと、それは昼間私がスタッフみんなの前でFさんを責めたからだ。
Fさんは弁が立つ方だ。方っていうか謎の弁護士パワーの持ち主だ。
しかし私も負けてはいない。
駅前で某教会の勧誘の人に話しかけられ、暇だったから30分ほど持論を展開してみたら相手が何も言い返せなくなった私を見くびってはいけない。
心斎橋で「アンケートに答えてくれたら粗品をプレゼントする」というキャッチにこれまた暇だったからついていったらエステの勧誘だった際、矛盾を指摘していったら最終的に言い返せなくなった勧誘の女性に「そんな毛玉だらけのセーター着てるくせに!!」と言われた私を舐めてはいけない。
確かにセーターは毛玉だらけだったが、この言葉を以って私は勝利したと思ったので爆笑した。
話がそれたが私はスタッフの前でFさんをボコ殴りにした(言葉で)。
それによってFさんへの不満をつのらせていたスタッフは溜飲を下げ、Fさんと私は事務所で通常業務を終えたあと改めて話し合った。
その3時間で当時の問題は完全にではないにせよ、ある程度解せたと思っていたあとの7時間だ。そう簡単に忘れるものではない。私にとっては。
しかしFさんは覚えていないと言う。
待ってそれを覚えていないということは、昼間私がFさんを責めた記憶だけが残っているということ?
ボコ殴りにされた(言葉で)衝撃で記憶が飛んでいるのでは??
フォローの記憶が失われていたら、Fさんにとって私はやばいやつになってるのでは???
その他、電話で聞いたいろんなことがその後大丈夫だったのかとか、めちゃくちゃ心配になってきたが、そんな何年も前のことを今更訊いても…とか、でも考えてしまうどうしようとか、悩みすぎて不眠になった。
1~2年前に削った睡眠薬を復活させるほどに。

12月某日、意を決してFさんに訊いてみた。LINEで。
私に責められた衝撃で記憶が飛んでいるのではないか、と。
あっさり「そんなことないですよ。単純に忘れてるだけです」と言われた(笑)。
責められた事自体も、一方的にボコられたという記憶になっている訳ではないようだった。
私の考えすぎだった…1ヶ月も。早く訊けばよかった。

 
Fさんが店を辞めることが公表されると、関係者はざわついた。
理由が語られなかったこともまた、動揺を大きくしたように見えた。
また、辞めるに当たっても問題は多かったし、面倒くさいことは今年の春頃まで続いたのかもしれない。その辺りの話は最近聞いた。詳細までは知らないが。

 

11月に再会したあと、私は再びFさんをツイッターでフォローした。
以前切ったのがいつだったかはよく覚えていないが、彼を通じて店やそのジャンルの情報が入ってくるのが辛かったのだと思う。
店自体はもはや私にとっては忌むべき存在となっていたが、Fさんを含めて何人かのスタッフや関係者は眩しい存在だった。
うつだった頃の私を、支えてくれていた世界。
それを直視するのが辛かった。
楽しかったことなど思い出したくなかった。
もう届かない世界など見ていられなかった。
それを再び目にするのはそれなりに勇気のいることだった。
実際今年に入ってからも、いろんなことを思い出して涙が止まらなくなる日もあった。

 

何年も経っていればジャンルの状況も変わっているし、私がかつてその世界の片隅に関係者として存在したことなど、当時のスタッフやよほど親しい関係者以外は覚えていないと思っていた。
ゆえに、フォローはしていないが情報が伝わってくるという位置の、私の認識では「2、3回話したことがあるかな」という人物の夢を見た話を、軽い気持ちでツイッターでつぶやいた。
すると当人からフォローされた。
ビビった。
私のことを覚えているのか、誰かわかっているのか恐る恐る訊くと「覚えてますよ。誰かはツイートの内容でわかりました」と言う。
しかも彼は私が忘れていたことも覚えていた。


衝撃だった。

 

忘れられていると思っていた。

誰も気にしていないと思っていた。

でもどうやら、そうでもないようなのだ。

気にはしていなくても、目に入れば思い出せるらしいのだ。

 

私はまだ存在していた。

 

これが1月の話なのでやっぱりまだ続く。

たぶん。